それらの調査を終え、Iさんと打ち合わせをし、まずはIさんのご意向を考慮した価格として、200万円から販売活動を開始することになりました。

販売開始後は毎週、不動産会社からのアクセス数、アットホームなどの不動産ポータルサイトへのアクセス数、お問合わせ件数を集計していました。その結果、当初の販売価格では、毎週の各アクセス数が1ケタ止まり、さらにお問い合わせ自体も皆無であったため、Iさんと相談の上価格を少しずつ下げていくことになりました。

販売価格が100万円を切ったぐらいからだと思います。他の不動産会社からのアクセス数がまったくなくなったのです。理由は、100万円の不動産を売買しても仲介手数料は安いですし、不動産会社が負う責任ばかりが重くなってしまうためです。つまり100万円以下の物件は、ほとんどの不動産会社では扱ってもらえないということなのです。

結局2年近く販売活動を行い、その結果、不動産ポータルサイトからお問い合わせをいただいたお客様に購入していただけることになりました。正直、少ないお問い合わせの中で成約させることは相当大変でしたが、無事に成約できて安堵しました。

契約に際しては、境界標(隣との境の目印)があるかどうかも確認しました。一般的に境界標がなければ数十万円かけて測量し、境界標を設置します(境界標の設置がすべての案件で必須ではありませんが)。

販売に際しては、アットホーム・HOME’S・Yahoo!不動産・不動産広場などの不動産ポータルサイトを利用していたのですが、その中でもっともアクセス数が多かったのはアットホームでした。

これらのサイトでアクセス数を少しでも増やす場合には、次の2つのポイントを押さえておくといいでしょう。1つ目は、「物件のアピールポイントを詳細に記載しておくこと」です。2つ目は「物件の写真を数多く載せること」。これらをしっかりと行うことがSEO対策になり、アクセス数も増加することになります。売却の際には、売主ご自身で思っている不動産のアピールポイントを不動産会社の担当者の伝えることが「売却するためのコツ」となります。

 

田中 裕治(一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事)